近年、熟年離婚の件数が増加しています。
夫婦の一方(ほとんどは夫)が定年退職者の離婚問題は、その典型と言えます。
当事務所の弁護士も、定年退職者(夫)からの離婚問題のご相談・ご依頼、および定年退職者の配偶者(妻)からの離婚問題のご相談・ご依頼をいただくことが少なくありません。
定年退職者は、再就職して仕事を続けられる方もいれば、年金暮らしの方もいるなど、その状況は様々ですが、定年退職者の熟年離婚の特徴として、財産分与と年金分割がポイントとなることが多いです。
そこで、この2つのポイントを中心に、ご説明させていただきたいと思います。
1 定年退職者の熟年離婚と財産分与
財産分与では、①預貯金、②不動産、③生命保険、④有価証券、⑤自動車、⑥退職金などの財産が対象となってくることが多いです。
そして、定年退職者の熟年離婚では、長年にわたる結婚期間中に多くの財産が形成され、分与額が高額になるケースも少なくありません。
そのため、離婚問題に詳しい弁護士にご相談のうえ、慎重に対処されることをお勧めします。
また、親族からの相続や贈与で取得した財産は財産分与の対象外となりますし、分与の割合の検討が必要となるケースもあります。
離婚問題に精通した弁護士にご相談いただき、適正な分与額に関するアドバイスを受けながら、離婚の話し合いを進めていただくのがよいでしょう。
ご自身で離婚問題に対応していくことに負担を感じていらっしゃるのであれば、弁護士にご依頼いただくこともご検討ください。
2 定年退職者の熟年離婚と年金分割
定年退職者の熟年離婚では、今後の安定的な収入の確保として、年金がとても大きな問題となることが少なくありません。
年金分割とは、厚生年金や共済年金の報酬比例部分を分割する制度です。
2008年4月以降に納付した部分は自動的に2分の1の割合で分割されますが、2008年4月以前に納付した部分は妻が受給できる割合を最大2分の1までとして、お互いの合意で分割の割合を決めることになります。
ただし、お互いの合意と言っても、調停や裁判ではほぼ2分の1と定められますので、2分の1以外の割合とすることはあまりありません。
年金分割についてご不明のことがありましたら、離婚問題に詳しい弁護士にご相談された際に、質問してみるのがよいでしょう。
3 慰謝料について
離婚の原因がDV(暴力)、モラハラ、不倫・浮気などの有責な行為にある場合には、慰謝料が問題となります。
慰謝料の前提となる事実関係が争いになる場合には、慰謝料を請求する側が有責な行為の存在を証拠により証明しなければなりません。
また、慰謝料の金額が争いになることも多く、有責な行為の内容・程度により算出されることとなります。
4 離婚の原因および手続について
配偶者が離婚に同意しているのであれば、原因が何であるかにかかわらず、離婚を成立させることが可能です。
離婚の手続は、まずは夫婦同士で離婚協議(話し合い)をし、協議がまとまらなければ家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
そして、調停でも解決できなければ、家庭裁判所に離婚訴訟(裁判)を提起するという3段階の手続となります。
離婚協議・離婚調停で離婚の合意ができず、離婚訴訟により離婚を認める判決を得るためには、法律上の離婚原因に該当する必要があります。
法律上の離婚原因は、民法770条1項に定められています。
具体的には、①不貞行為(不倫・浮気)、②悪意の遺棄(夫婦間の同居・協力・扶助義務に違反すること)、③3年以上の生死不明、④回復の見込みがない強度の精神病、⑤その他の婚姻を継続し難い重大な事由(DV、モラハラ、長期間の別居などにより夫婦関係が破たんしたこと)です。
5 まずは弁護士にご相談ください
当事務所の弁護士は、離婚に関する多数のご相談・ご依頼実績があります。
離婚問題について、お悩みのことがありましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。
離婚問題に強い弁護士が、親身になって対応させていただきます。
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