審判離婚とは、離婚調停(離婚訴訟が調停に付された場合を含む)において、家庭裁判所が相当と認めた場合に、裁判官が職権で審判により離婚を成立させることをいいます。
離婚調停や離婚訴訟では、審判離婚という形式で離婚が成立することがあります。
調停離婚を成立させる場合や、離婚訴訟での和解によって離婚を成立させる場合には、夫婦双方に離婚についての合意がなければなりません。
しかし、離婚についての合意には至っていないものの、夫婦間にごくわずかな意見の相違があるに過ぎず、基本的には離婚を認めた方がよいというケースなどもあります。
このような場合には、審判離婚が利用されることがあります。
離婚を成立させる審判が下された場合に、夫婦双方から2週間以内に異議が出なければ、離婚の成立が確定します。
しかし、審判後2週間以内に夫婦のいずれかから異議申立てがあると、審判の効力が失われてしまいます。
このように、審判離婚は、異議の申立てによって簡単に効力が失われるため、実務上はあまり利用されていません。
当事務所の弁護士は、これまでに、多数の離婚に関するご依頼を取り扱って参りましたが、夫婦間に意見の相違があるなどして、離婚についての合意に至っていない場合に、審判離婚が選択されたというケースはありません。
審判離婚が利用されることは、実務上、非常に少ないものとお考えいただいてよいと思います。
一方で、当事務所の弁護士がこれまでに取り扱った事案で、夫婦間で離婚についての合意に至ったものの、夫婦が遠方で別居状態にあるというケースで、審判離婚が選択されたものが複数あります。
すなわち、調停離婚を成立させる場合や、離婚訴訟での和解によって離婚を成立させる場合には、夫婦双方が家庭裁判所に出頭して、裁判官の面前で合意内容に間違いがないかどうかなどを確認しなければなりません。
しかし、夫婦が遠方で別居状態にある場合には、夫婦間で離婚についての合意に至っていても、夫婦の一方が、離婚調停が行われている家庭裁判所に平日の日中に出頭することへの負担が大きく、日程調整がスムーズに行えないこともあり得ます(なお、離婚の成立に至らない初回~途中回の調停期日や裁判期日は、電話会議の方法によって進行させることができるため、当事者や代理人が遠方の家庭裁判所に出頭する必要はありません。
しかし、離婚を成立させるための調停期日や裁判期日には、夫婦双方が家庭裁判所に出頭しなければならないのです)。
このような場合には、夫婦間で離婚についての合意をしっかりと詰めて、審判後の異議申立てが出ないように十分に調整したうえで、裁判官が離婚を成立させる審判を下すことによって、スムーズに離婚を成立させることが可能となります(審判離婚であれば、家庭裁判所に出頭するのは、夫婦の一方で足ります)。
実務上は、審判離婚が利用される事案は、上記のように夫婦が遠方で別居状態にあるというケースが多いと思われます。
夫婦が遠方で別居状態となる原因としては、全国転勤のある大企業の会社員の方や、自衛官の方などが離婚の当事者となるケースなどが多いでしょう。
また、青森県から仙台や関東などの遠方に出た方が、その遠方の地で結婚をしたものの、夫婦別居に至って、青森県の実家に戻ってくるというケースなども考えられます。
逆に、青森県で同居していた夫婦が別居状態となり、夫婦の一方が遠方にある実家に帰るというケースなども考えられます。
なお、審判離婚には、離婚調停の段階で審判が下されるパターンと、離婚訴訟の段階で手続が調停に付されたうえで審判が下されるパターンとがあります。
当事務所の弁護士は、これまでに、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚と、各種の離婚手続を活用して、離婚に関する問題を解決してきた実績が豊富にございます。
離婚問題についてお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。