40代を迎え、仕事も子育ても安定してくる中で、若々しく元気に活動している方はたくさんいらっしゃいます。
一方で、夫婦関係に目を向けると、例えば、お子さんが自分のことは自分でできるようになった段階で、自分自身の人生、結婚生活を振り返り、「このまま、この人と一緒にいて自分は幸せなのだろうか?」、「自分の人生はこのままで良いのだろうか?」と疑問を持ち、このまま結婚生活を続けることの意味を見失い、離婚を考える方もいらっしゃいます。
また、結婚生活が5年・10年・20年と続いてきた中で、相手の性格や生活習慣の違いから、結婚生活の継続に苦痛を感じて、離婚を決意する方も少なくありません。
最近では、40代を迎えたことを機会に、経済的な不安よりも、個人として自立した生活を望む女性が離婚を考えることが多いように思います。
ここでは、40代で離婚についてお悩みの方へ、離婚を決意した際に考えるべきことや注意すべきことについて、ご説明させていただきます。
1 離婚を決意した際に最初に考えるべきこと
まず、離婚や別居をした場合には、ご自身で生活費を稼ぐ必要があります。
そのため、特に、専業主婦・専業主夫だった方や、兼業主婦・兼業主夫で長らく(相手の扶養の範囲内の収入で)パートで働いていた方の場合、別居後や離婚後、ご自身の収入で生活していくことができるか、事前に計画を立てておく必要があります。
また、別居をするにあたって、賃貸アパート等を借りなければならない場合、初期費用をご自身の預貯金で準備することができるか、ということについても、検討しておくべきでしょう。
2 離婚するにあたって注意すべきこと
(1)親権について
40代では、小学校高学年、中高生のお子さんがいらっしゃることが多いです。
未成年のお子さんがいらっしゃる場合には、離婚の際に親権者を決めなければなりません。
親権が争われた場合、裁判所は、父親と母親のいずれが主に育児(監護養育)をしていたかを重視して判断します。
そのため、専業主婦・専業主夫や兼業主婦・兼業主夫として、これまで主に育児をしてきた方の場合、親権を獲得することについては、あまり心配はありません。
他方で、最近は、夫婦共働きで、家事・育児をほとんど差がなく分担しているケースも増えています。
その場合には、裁判所は、父親と母親のいずれの方が、育児(監護養育)体制が整っているかで判断する傾向にあります。
このことから、最近では、裁判所においても父親の親権が認められる事例が増えてきています。
そして、母親であっても、ご自身が外で忙しく働いている場合には、親権問題で不利に判断されてしまう可能性もあるわけです。
したがって、夫婦共働きで、家事・育児を分担していた場合には、お子さんのことを第一に考えた離婚後の生活環境作りはとても大切です。
ご両親(お子さんにとっての祖父母)のそばに住んだり同居してもらったりして、育児をサポートしてもらうことも1つの方法です。
親権が争われそうな場合には、裁判所の判断の理解や法的な知識と工夫が必要ですので、早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
(2)養育費について
適正な養育費の金額は、支払う側と支払いを受ける側の年収をもとに、家庭裁判所が公表している「算定表」を使って計算することができます。
そのため、相手方の年収を知り、いくらもらえるのか(いくら支払う必要があるのか)を把握することが重要です。
とくに、専業主婦・専業主夫だった方や、兼業主婦・兼業主夫で長らく(相手の扶養の範囲内の収入で)パートで働いていた方の場合、すぐに仕事をしたり、収入を増やすことは難しいかもしれません。
そのため、離婚後の生活を安定させるためにも、相手方からしっかりと養育費を支払ってもらうことは重要です。
(3)財産分与について
40代は、年収が高くなる時期ではありますが、一方で、生活費やお子さんの学費・教育費にお金がかかる時期でもあります。
この時期は、出費も多く貯金が少ない傾向にありますので、財産分与で大きな争点とならない場合も多いです。
夫婦共働きの場合には、お互いが自分の収入や預貯金をそれぞれ管理している場合も多いですが、例えば夫の収入で主に生活費を負担していて妻の収入は貯蓄に回していたなど、生活費の負担状況によっては、一方の名義に偏って預貯金が蓄えられている場合があります。
また、40代で主婦・主夫だった方が離婚する場合、離婚後の生活に困らないようにしっかり財産分与をしておく必要がありますが、収入を得ていた側が家計を管理していて、給与明細すらも見せてもらったことが無いという方もいらっしゃいます。
その意味では、結果として財産分与する財産が無かったとしても、きちんとお互いが自分名義の財産の開示をする必要はあります。
そして、開示された財産を評価し、(夫婦共有財産の)全体を公平に半分ずつに分けることが基本となります。
住宅ローンが残っている家がある場合、40代はまだまだローン残高が残っている場合が多いです。
家の査定価格から住宅ローンを引いた金額がマイナス(オーバーローン)の場合、家には価値がないと判断されて財産分与の対象から外すという扱いをすることが多いです(ただし、預貯金等の他の財産と通算するという考え方もあります)。
この場合でも、どちらが家に住むのか、ローンの支払いはどうするのか、あるいは任意売却をするのかなどは、決めなければなりません。
(4)年金分割について
年金分割制度とは、婚姻期間中に納めた厚生年金保険料については、夫婦が共同して負担してきたという考え方から、離婚時において、婚姻期間中に納めた夫婦の厚生年金保険料の納付記録について、一定の割合で分割する制度です。
相手方が分割に応じなかったとしても、年金分割の審判の申立てをすれば、2分の1の審判がなされます。
(5)婚姻費用について
離婚する前に、夫婦が別居するケースも多く存在します。
離婚を前提とする別居期間中であっても、離婚するまでは夫婦ですので、配偶者の収入がご自身より高額である場合には、配偶者があなたに対して、夫婦において分担すべき生活費(婚姻費用)を支払う義務を負います。
配偶者が支払をしない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることを検討すべきでしょう。
3 弁護士にご相談ください
離婚について悩まれているご事情は、それぞれの夫婦で異なります。
当事務所では、様々なケースにおける40代の離婚の案件を取り扱って参りました。
40代の方で離婚についてお悩みの場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。