1 特別費用とは

算定表(標準算定方式)による養育費・婚姻費用には、次のような費用は含まれていません。

①子どもが私立高校や大学等に進学する場合の入学金・学用品費
②子どもの大きな病気・怪我による高額の医療費

上記のような子どもについて臨時で発生する大きな支出を「特別費用」と言います。

特別費用については、あらかじめ当事者間で、「子どもが私立高校に進学する時の入学金、授業料の負担は、別途協議する」、「子どもが私立高校および大学に進学する時の入学金、授業料を1対1の割合で負担する」、「〇〇〇〇年〇〇月〇〇日(子どもの高校・大学入学時)限り、〇〇万円を支払う」などと取り決めておくことができます。
また、特別費用が発生した時に、当事者間で話し合いにより負担割合や金額を取り決めることもできます。

このように当事者間の取り決めにより解決できればよいのですが、あらかじめ当事者間で取り決めがなく、特別費用の負担について争いになった場合には、家庭裁判所の調停・審判で解決を図ることとなります。

2 請求可能なもの

まず、前述のように、①子どもが私立高校や大学等に進学する場合の入学金・学用品費、②子どもの大きな病気・怪我による高額の医療費など、子どもについて臨時で大きな支出が発生した場合には、請求が認められる可能性があります。

一方で、公立の中学校・高校に進学する場合の通常の学用品費や、風邪や軽傷の場合にかかる一般的な医療費は、算定表(標準算定方式)による月々の養育費・婚姻費用とは別途、相手方に請求することはできません。

次に、①子どもが私立高校や大学等に進学する場合の入学金・学用品費は、相手方が私立高校・大学進学を了解していたかどうか、当事者双方の学歴・収入・社会的地位、兄弟姉妹の進学状況(私立高校・大学に進学しているかどうか)などの事情を踏まえ、相手方に負担を請求できるかどうかが判断されます。
②子どもの大きな病気・怪我による高額の医療費は、通常は相手方に負担を請求することができるのが通常でしょう。

そして、相手方に特別費用の負担を請求できる割合や金額は、特別費用の内容および金額、当事者双方の収入および生活状況などの諸事情を踏まえ、算定されることとなります。