離婚時の財産分与には、清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の3つの要素があります。

1 清算的財産分与

清算的財産分与とは、夫婦が結婚期間中に協力して形成した財産を、離婚時に夫婦それぞれの貢献の程度に応じて公平に分配するものです。
通常、単に「財産分与」という場合は、清算的財産分与を意味します。

2 扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、夫婦の一方が離婚後の生活に経済的な不安がある場合に、生活の安定のために他方が補充的な財産分与を行うものです。
扶養的財産分与は、夫婦の一方が高齢・病気であったり、専業主婦・専業主夫で無収入であったりする場合などに、経済的な困窮の程度を考慮して判断されます。

3 慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与とは、慰謝料の要素を加味した財産分与です。
通常、不貞行為やDVなどの行為がある場合には、財産分与とは別に慰謝料の請求が行われるため、慰謝料的財産分与が問題となることは少ないです。
しかし、慰謝料や財産分与といった名目を明確に定めずに、夫婦の財産の分配が行われることもあります。
このような場合に、慰謝料の要素を加味した財産分与と評価できるため、慰謝料的財産分与と呼ばれます。