離婚をしたいと考える理由が配偶者の親や親族との不和・不仲であることは少なくありません。
嫁・姑問題が典型的なものですが、夫が妻の親や親族と折り合いが悪いという例もあります。
結婚生活は夫婦の問題です。
しかし、配偶者の親や親族との関係を切り離すことはできません。
同居している場合に配偶者の親や親族との関係が悪くなったり、同居していない場合にも配偶者の親や親族が子育て等に介入してきたりすることもあります。
このページでは、配偶者の親や親族との折り合いが悪いことを理由とする離婚について、ご説明させていただきます。

1 親や親族と折り合いが悪いことを理由に離婚できるか?

配偶者の親や親族との折り合いが悪いことを理由に離婚をしたいと考えた場合、配偶者が離婚に同意するのであれば離婚を成立させることができます。
しかし、配偶者がどうしても離婚に応じてくれない場合には、法律上の離婚原因に該当することが必要となります。
法律上の離婚原因は、以下のとおりです。

【法律上の離婚原因】
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

配偶者の親や親族との不和・不仲については、上記⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する必要があります。
この点、配偶者の親や親族は、夫婦当事者ではありません。
婚姻を継続し難いかどうかは、夫婦当事者の関係性から判断されるのが基本であり、配偶者の親や親族との折り合いの悪さは、直ちに夫婦関係の継続の困難性に直結するものではありません。
配偶者の親や親族との不和・不仲によって、夫婦当事者の関係が破綻して修復不可能になったと言える必要があるのです。

例えば、親や親族との不和・不仲の原因が配偶者自身にある場合、配偶者が親や親族との不和・不仲を解消しようとする努力をせずに放置している場合、配偶者が実家に帰ってばかりでほとんど家にいない場合において、夫婦間の信頼関係が完全に失われたのであれば、上記⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性がありますが、その立証が困難なケースも多いでしょう。

2 離婚の手続・流れ

離婚をするための手続としては、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟の3段階があります。
以下では、それぞれの具体的な手続や流れについて、ご説明させていただきます。

(1)離婚協議

まずは、離婚の協議(話し合い)をします。
夫婦双方が離婚に合意し、離婚届を市町村役場に提出すれば、離婚が成立します。
離婚をする際には、財産分与・慰謝料・面会交流・養育費などの条件を取り決め、取り決めた条件を記載した離婚協議書を取り交わしておくのがよいでしょう。
ご自身だけで対応することに不安がある場合には、弁護士に離婚協議を依頼することもご検討ください。
弁護士を立てることにより、ご自身で交渉する負担を軽減することができますし、適正・迅速な解決を図ることが期待できます。

(2)離婚調停

離婚協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることとなります。
離婚調停では、調停委員の仲介のもとに話し合いが行われます。
任意の交渉を行うよりも、冷静な話し合いが期待できるでしょう。
離婚調停で夫婦間の合意ができれば、合意内容を記載した調停調書が家庭裁判所から交付され、離婚が成立します。
離婚調停では、主張内容を法的な観点から整理し、証拠資料を提出するなどの対応が必要となります。
また、調停委員を仲介者とする交渉も容易なものではありませんので、専門家である弁護士にご依頼いただくことをお勧めいたします。

(3)離婚訴訟

離婚調停でも合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することとなります。
離婚訴訟では、夫婦双方の主張内容と証拠資料をもとに、裁判官が離婚の可否等を判断します。
判決で離婚を成立させるためには、前述した法律上の離婚原因に該当することが立証される必要があります。
配偶者の親や親族との不和・不仲については、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると言えるための立証のハードルが高いため、離婚協議または離婚調停で解決を図るのが現実的でしょう。
なお、離婚訴訟でも、裁判官を介した話し合いが試みられることがあり、和解により夫婦の合意のもとに離婚が成立することも少なくありません。
離婚訴訟の手続は非常に複雑なものであるため、専門家である弁護士に依頼して対応されるのがよいでしょう。

3 弁護士にご相談ください

当事務所では、これまでに、離婚問題に関するご相談・ご依頼を多数お受けし、解決に導いてきた実績が豊富にございます。
配偶者の親や親族との不和・不仲による離婚の対応経験・実績も数多くございますので、ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。