「相手方が子どもを連れて家を出て行ってしまった。でも、子どもは、私が自分の手元において育てていきたい。」
「相手方との生活に耐えられず、やむを得ず子どもを置いて私だけ家を出た。これまでも私が子どもの面倒を見てきたので、子どもを引き取って、これまでどおり育てていきたい。」
「子どもを連れて自宅を出て、相手方との別居生活を始めた。しかし、相手が、保育所から子どもを無断で連れ去ってしまった。子どもを返して欲しい。」
最近は、離婚に関するご相談とともに、別居中の夫婦において離婚が成立するまでの間の子どもの面倒をどちらがみるかという、監護権の争いも増えています。
夫婦が別居しても、原則として双方が親権者であることに変わりはありません。
このような親権者同士の対立となった場合は、「別居中に子どもを育てることができる権利者として私を指定して欲しい」という申立て(子の監護者指定の申立て)、「子どもを私に渡して欲しい」という申立て(子の引渡しの申立て)を裁判所に対して行うことになります。
また、相手が子どもを連れ去ろうとしている場合や、相手が子どもを連れ去ってしまった場合など、早急な対応が求められる場合には、審判前の保全処分(審判の前の暫定的な処分)として、それぞれ、仮の監護者の指定(暫定的に監護者を指定する処分)、仮の子の引渡し(暫定的に子どもを引き渡す処分)を申し立てることができます。
裁判所が、親権者や監護者を指定する際に考慮するのは、子どもの福祉です。
すなわち、夫婦のどちらが監護者となることが子どもの利益、幸福に適するかです。
夫婦が別居した後に、子どもを無断で連れ去ったり、強引に連れ去ったりするなどして「違法な連れ去りである」と評価された場合などは、監護者としての適格性にマイナスの評価が与えられることもあります。
家庭裁判所が審判前の保全処分を認めるか否かを決める際も、判断基準は同じです。
子どもは父母にとってかけがえのない存在であるため、監護権に関する紛争は深刻な対立を生んでおり、当事者の負担も大きくなっています。
監護権の問題でお困りのときは、お気軽に当事務所にご相談ください。