事案内容:親権
依頼者:40代の男性(会社員)
相手方:40代の女性(会社員)
結婚歴:7年
子ども:2人
1 夫婦の状況
依頼者は、性格の不一致などが原因で、夫婦別居に至りました。
妻はアパートへ転居し、依頼者と子ども達(いずれも未就学児)は自宅でそのまま生活を続けることで、別居生活が始まりました。
別居後すぐに、妻が離婚調停を申し立てましたが、親権について折り合いがつかなかったことから、当面の間、月4回の頻度の面会交流を続けるということで合意して、離婚調停は終了となりました。
2 相談・依頼のきっかけ
別居から1年半ほどが経過した段階で、「面会交流についてのやり取りがうまくいっていない」ということで、当事務所のご相談いただきました。
その時点で妻には弁護士がついていましたが、依頼者と妻の弁護士との間で、子ども達の生活に配慮した日程の調整ができていない印象でした。
そこで、まずはバックアッププランでご依頼いただき、面会交流を円滑に進めるために適宜アドバイスをすることで、進めていきました。
そして、別居から2年が経過したところで、離婚問題の決着をつけたいとのことで、離婚の対応のご依頼に移行しました。
3 当事務所の活動
当事務所の弁護士は、ご依頼の時点ですでに別居開始から2年が経過しており、子ども達は依頼者のもとで安定的に監護されていることを受けて、あらためて、妻に対し、親権を主張する通知をしました。
これに対して、妻も親権を主張するとの返答であったため、当事務所の弁護士は、離婚調停を申し立てました。
他方で、妻は、月4回の面会交流の確実な実施を求める面会交流調停を申し立ててきました。
離婚調停の中で、当事務所の弁護士は、子ども達は依頼者のもとで安定的に監護されていることを伝えていきました。
そして、期日を重ねる中で、妻は、親権は譲るという意向を示した上で、金銭請求を行ってきました。
依頼者は、理由のない金銭の支払いには応じられないということで、離婚調停は不成立で終了しました。
他方で、面会交流調停では、様々な問題点を洗い出しながら、家庭裁判所調査官の関与のもと、子ども達の生活に配慮した形での実施として調整を重ねていきました。
4 当事務所が関与した結果
離婚調停の不成立の後、当事務所の弁護士は、すぐに離婚の裁判を申し立てました。
裁判では、裁判官の指揮により、面会交流調停の進行も踏まえながら、手続が進められていきました。
そして、面会交流が円滑に実施されるようになった段階で、妻は、再び親権者を依頼者とすることに同意するとともに、離婚の条件としての金銭は求めないという意向を示しました。
これにより、裁判上の和解として、依頼者が親権を獲得し、別居から3年半に及んだ離婚問題に決着をつけることができました。
また、離婚の合意とともに、面会交流調停についても、子ども達の生活状況を踏まえ、月2回という現状に即した形で合意をすることができました。
5 解決のポイント(所感)
面会交流が円滑に行われていることは、親権の判断基準の一つでもありますし、相手方が親権の主張へのこだわりを解消する契機ともなります。
とはいえ、親権者の判断基準の中で一番重要なのは、子の監護の実績となります。
本件では、依頼者が、別居後も子ども達のことを第一に考えて監護を行なってきた努力と実績を前提に、面会交流も適切に実施されたことで、無事に親権を獲得することができました。