事案内容:離婚
依頼者:40代の女性(会社員)
相手方:50代の男性(会社員)
結婚歴:10年
子ども:2人

1 夫婦の状況

依頼者と夫は、夫のモラハラが原因で夫婦関係が悪化し、夫が自宅を出る形で、夫婦別居となりました。
依頼者は、別居後から夫と離婚の話し合いを試みましたが、夫は離婚に応じませんでした。
また、依頼者と子ども達が住んでいる自宅が夫名義であったことから、夫婦別居後も定期的に夫が出入りしている状況でした。

2 相談・依頼のきっかけ

依頼者は、別居後も夫が定期的に自宅に出入りしていることに大きなストレスを感じ、生活費の支払いや面会交流のやり取りで度々トラブルがあったことから、離婚問題の決着をつけたいとのことで、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
夫名義の自宅を出て子ども達とともにアパートに転居するまでの間は、バックアッププランでのご依頼で転居の際の注意点などについて適宜アドバイスを行い、転居が完了した段階で、離婚の対応についてご依頼いただきました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、離婚自体については、ご依頼の時点ですでに別居開始から3年余りが経過していることや、夫のモラハラという別居開始の原因を踏まえると、法律上の離婚原因である婚姻関係の破綻が十分認められ、たとえ夫が離婚を拒否したとしても、最終的には裁判で離婚請求が認められるであろうと判断しました。
また、親権についても、出生から別居後の現在まで一貫して、ほとんどの監護を依頼者が行なっていることから、たとえ夫が親権を主張してきたとしても、最終的には裁判で依頼者に親権が認められるであろうと判断しました。

このことを踏まえつつ、当事務所の弁護士は、夫に対して、離婚と親権を求める通知をしたところ、夫は「離婚は仕方ないが、親権を主張する」という返答でした。
その後すぐに夫に弁護士がつき、夫の弁護士からの返答は「そもそも、離婚に応じるつもりはない」、「あるいは、親権者を夫にするなら離婚に応じてもよい」というものでした。

当事務所の弁護士は、協議では離婚自体あるいは親権について決着がつく見込みがないと判断して、速やかに調停を申し立てました。

4 当事務所が関与した結果

調停において、当事務所の弁護士は、法律上の離婚原因である婚姻関係の破綻を裏付ける具体的な事実(夫のモラハラを含む)の主張・立証を行うとともに、親権についても、出生から一貫してほとんどの監護を依頼者が行なっていることを主張しました。
また、親権者を依頼者とする離婚に応じない場合には、不成立にして、すぐに裁判を申し立てることも伝えました。

そうしたところ、夫は、協議段階での態度と一変して、依頼者を親権者とすることでの離婚に応じ、算定表で計算された養育費を支払う意向を示してきました。
そして、離婚、親権、養育費で合意して、離婚調停が成立しました。
当事務所の弁護士が介入したことで、別居から3年以上も進展がなかった離婚問題に、離婚の対応のご依頼から4か月で決着をつけることができました。

5 解決のポイント(所感)

離婚においては、当事者同士あるいは一方または双方に弁護士がついた形での協議の段階から、調停での話し合いへ移行した段階で、主張内容が変わることは、時々あります。
調停で折り合いがつかない場合には、次の離婚の手続の段階としては、裁判(離婚訴訟)になります。
そして、そのまま主張を続けても、裁判で自分の主張が通る見込みがないと判断すれば、調停ですぐに応じてくることがあります。

裁判になった場合に、離婚(法律上の離婚原因の有無)や親権について、裁判所がどのような判断をするであろうかについては、法律上の離婚原因の有無や親権の判断基準を理解し、普段から裁判例の分析をしている弁護士であれば、相当の確度で判断が可能です。

本件では、相談・依頼の段階で十分な聴取と証拠の確認をして、離婚も親権も、裁判で依頼者の主張が認められるであろうと判断できました。
そのことから、協議にも早めに見切りをつけて調停を申し立てることができ、また、調停でも、親権者を依頼者とする離婚に応じない場合には不成立にしてすぐに裁判を申し立てることを伝えることができました。
その結果、夫は協議の段階では離婚自体と親権を争っていたものの、調停では態度を変えて親権者を依頼者とすることでの離婚に応じ、離婚の対応のご依頼から4か月で決着をつけることができました。

6 お客様の声

裁判というものが全く理解していない状態からのスタートで不安しかありませんでしたが、山口先生のとても分かりやすい説明や対応スピードの早さに心強さと、安心感を感じながら解決までただただ感謝しかありません。
本当にありがとうございました。

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