事案内容:財産分与
依頼者:70代の女性(無職)
相手方:70代の男性(無職)
結婚歴:47年
子ども:いずれも成人済み
1 夫婦の状況
依頼者は、長年、相手方である夫に不満を持っていましたが、離婚後の居住先も見つからないことから、離婚に向けて動くことができずにいました。
なお、子どもはいずれも成人しており、長年、夫婦2人で暮らしていました。
2 相談・依頼のきっかけ
依頼者は、「夫が威圧的な態度で、これまでビクビクして暮らしてきたが、離婚をしてこの生活から抜け出したい。ただし、夫にそのことを話すことができず、話しても不利な条件で追い出されるのではないか。」とのことで、当事務所にご相談いただきました。
当事務所の弁護士は、まずは別居をし、その後、協議離婚ではなく調停離婚をすることをお勧めしたところ、依頼者は弁護士を立てて手続きを進めたいとのことで、別居をしたタイミングで当事務所に対応をご依頼いただきました。
3 当事務所の活動
当事務所の弁護士は、すぐに離婚調停(及び婚姻費用分担調停)を申し立て、調停の手続きに臨みました。
4 当事務所が関与した結果
離婚調停において、相手方は離婚には応じる意向を示したものの、財産分与(不動産の時価額の分与)について消極的な態度をとってきました(なお、依頼者も相手方も預貯金を保有していたのですが、依頼者が別居前にお互いの預貯金残高を調整していたため、離婚調停では争点になりませんでした)。
これに対し、当事務所の弁護士は「不動産の時価額の半額の支払に応じる意向がないのであれば、不動産を売却して売却代金を分配するしかないが、その場合、相手方は居住する場所がなくなると思われるが、その意向で本当によいのか。」などといったことを相手方に投げかけました。
このような当事務所の弁護士による交渉・説得の結果、最終的に、財産分与として相手方が依頼者に175万円を支払う形で調停を成立させることができました。
5 解決のポイント(所感)
相手方との離婚を決心しても、なかなかご自身の思った通り話を進められず、あるいは、冷静に話し合いをすることさえ難しい場合があると思います。
特に、長年、相手方から威圧的な態度を受けて過ごしてきた方にとっては、そもそも離婚の話を切り出すことさえ勇気がいることであり、相手方に言い負かされるのではないかと不安に思われる方が多く見られます。
このような場合には、無理に話し合いをするのではなく、まずは別居をすることが有効なことも多いです。
別居により相手方との不要な接触が減ることで、これまでよりも精神的にかなり楽な状態で離婚の話を進めることができます(また、実際に離婚をした後の生活に向けて、離婚をする前から動き出すことができます)。
しかし、それでも話し合いにより離婚を進めることがどうしても難しい場合もあります。
あるいは、ご自身だけで相手方と話し合って離婚を進めることに不安を感じる方もいらっしゃいます。
相手方との離婚の話し合いに自信がない方は、まずは弁護士にご相談することをお勧めいたします。