事案内容:離婚
依頼者:60代の女性(会社員)
相手方:60代の男性(無職)
結婚歴:36年
子ども:-

1 夫婦の状況

依頼者は、夫の暴力などが原因で家を出て、その後15年以上、別居を続けていました。 

2 相談・依頼のきっかけ

依頼者は、夫と離婚の話し合いをしてみたものの、「夫がいろいろな要求を出してきたりして、話が前に進まない」、「夫と話し合いをすること自体が負担に感じるので、弁護士に依頼したい」とのことで、ご相談・ご依頼いただきました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、すぐに夫に連絡を取り、離婚に向けた交渉を始めました。
夫は、離婚には関係のないことも含めて様々な要求を出した上で、「要求が全て通らなければ離婚には応じない」、「裁判になってでも、とことん戦う」という態度でした。
そこで、当事務所の弁護士は、様々な要求については応じる理由は全くないこと、裁判になれば離婚の請求は認められることを、法律的な見解を含めて一つ一つ説明して、説得・交渉を重ねていきました。

4 当事務所が関与した結果

説得・交渉の結果、夫は、裁判になれば夫には何のメリットもないことを次第に理解していき、ある程度のお金を支払ってもらえれば離婚に同意するという態度に変わっていきました。
そこで、当事務所の弁護士は、依頼者と打ち合わせをして、一定のお金を負担してでも早期に離婚を成立させたいという依頼者の意向を確認しました。
そして、その方針で、早期の離婚成立に向けて交渉をしました。

その結果、夫に対して一定の支払を約束することにより、ご依頼から1か月で、夫がサインした離婚届と離婚協議書を受け取ることに成功しました。

5 解決のポイント(所感)

長期間の別居などの明確な法律上の離婚原因がある場合でも、相手方が様々な要求を出してきて、離婚には全く応じないということがあります。
この場合、大きく分けて二つの方法が考えられます。

一つは、明確な法律上の離婚原因があるのですから、理由のない要求は断固拒否して、離婚の調停・裁判という手続を淡々と進め、離婚を認める判決をもらうという方法です。
ただし、この場合には、調停・裁判をするので、時間がかかりますし、費用の負担も生じます。
相手方がとことん争ってきて、第1審(家庭裁判所)で負けても控訴(高等裁判所への不服の申立て)してきた場合には、さらに時間と費用の負担が生じてしまいます。

もう一つは、一定の解決金を支払うことで離婚に同意させるという方法です。
この場合は、お金の負担は生じるものの、早期に離婚をさせることができます。
ただし、あくまで要求に応じる理由がないことや、裁判になれば離婚を認める判決が出ることなどをしっかりと主張した上で、金額を提示して応じさせる必要があります。
そうしないと、ごねられて、相手方に主導権を握られ、法外な金銭を支払うことにもなりかねません。

本件では、依頼者と打ち合わせをしながら方針を決め、一定のお金を負担してでも早期に離婚を成立させたいという依頼者のご希望通り、1か月という短期間で離婚を成立させることができました。