青森県には、多くの自衛隊の基地や駐屯地などがあります。
当事務所では、離婚に関するご相談・ご依頼を多数取り扱っていますが、自衛官の方が当事者となっているケースも少なくないように思います。

自衛官の方は、国を守る役割を担う人として、社会的な地位や信用があり、経済的にも安定していることが通常である一方、訓練や海外派遣などで一定期間帰宅できないことがあるほか、数年に一度の異動で遠方に配属されることも常であるといった特徴があります。
そのため、離婚とお金の問題や、遠方の配偶者との離婚手続といった問題が、解決に当たっての重要なポイントとなることが多いです。

当事務所では、このような自衛官の方の特徴を十分に考慮しながら、自衛官の方の離婚問題に対応させていただいております。
このページでは、自衛官の方の離婚問題のポイントについて、ご説明させていただきます。

1 離婚とお金の問題

自衛官の方は国家公務員であるため、経済的に安定しているのが通常であることから、夫婦が別居した際には、相応の婚姻費用の取り決めをしたうえで、離婚の協議や調停・訴訟を進めていくのが通常です。
また、子どもがいる場合は、離婚の際に相応の養育費の取り決めがされるのが通常です。

財産分与については、将来支給される退職金が、財産分与の対象となるかという問題があります。
この点、確かに、将来の退職金は、経済情勢、退職時期、退職理由などの不確定な要素によって左右されるところはあります。
しかし、実務では、別居時(または離婚時)に自己都合退職した場合に支給される退職金の額をベースに財産分与の算定を行うのが一般的な取り扱いとなっています。

自衛官の方は、民間よりも収入が多く、預貯金・積立金や退職金を合わせると、財産が相当の額になることも少なくないため、婚姻費用・養育費、財産分与などのお金の問題については、慎重に検討していく必要があると言えます。

2 離婚と子どもの問題

夫婦間に子どもがいる場合には、離婚の際に親権者を決める必要があります。
子どもの親権について夫婦間で合意ができない場合には、家庭裁判所の調停・訴訟による解決を求めることとなるでしょう。

また、面会交流についても、夫婦間で話し合う必要があります。
面会交流とは、親権者とならなかった側が子どもと定期的に面会するなどの交流を行うことです。
面会交流の実施について夫婦間で争いになる場合には、家庭裁判所の調停・審判による解決を求めることができます。
自衛官の方の面会交流では、遠方への配属のために子どもとの定期的な面会が困難となることも少なくありません。
例えば、普段はテレビ電話・ビデオ通話による交流とし、休暇を取れるタイミングで面会を実施することとする、などの工夫が必要となることも多いでしょう。

3 遠方の配偶者との離婚

自衛官の方は、数年ごとの異動で遠方への配属となるといったことが常であり、離婚の協議や調停・訴訟中にこれが起こると、遠方の配偶者とのやり取りや、遠方の裁判所での手続への対応といった問題も生じてきます。

当事務所の弁護士にご相談・ご依頼いただいた案件の中にも、当時の配属先で配偶者と暮らしていた自衛官の方が、その地で配偶者と別居に至ったものの、離婚の話し合いがまとまらないまま、遠く青森県の基地に配属になったというケースがありました。
また、青森県の基地に配属された自衛官の方が、配偶者と青森県で暮らしていたものの、青森県内で別居状態となり、離婚が成立しないまま、遠くの県に配属となったというケースもありました。

まずは、このように離ればなれにならないうちに、離婚を成立させることが望ましいと言えます。
しかし、夫婦の状況や異動のタイミングもあり、遠方への配属が近い時期に離婚の話が出てきてしまうこともありますし、異動の時期までに離婚問題がすんなり解決するとも限りません。

このような遠方の配偶者との離婚は、やはり手続的に困難が伴います。
郵便や電話でのやり取りが中心となりますし、調停や訴訟を行う際には、遠方の裁判所での手続に対応しなければならないこともあるといった問題もあります。
日々の仕事や日常生活における諸活動をこなしながら、こうした手続に対処していくのは、負担が大きいことと思います。

そのときは、弁護士に依頼して、遠方の配偶者との離婚協議を一任してしまうとか、裁判所での手続を弁護士に対応させることが考えられます。
遠方の裁判所での手続でも、その裁判所に設置された電話会議システムを利用して、弁護士が事務所に居ながらにして手続を進めていくことが可能となります(ただし、調停成立の際や裁判上の和解で離婚を成立させる際には、本人が裁判所に出頭しなければならないのが原則です。離婚調停においては、離婚の条件に合意した上で審判離婚を選択することで、遠方の裁判所に出頭せずに解決する手法を取ることもできます。また、訴訟において、当事者の尋問の手続が行われる場合にも、本人の出頭が必要となります。このように、1回は遠方の裁判所への出頭が必要となるかもしれませんが、それでもご負担は大きく軽減されると思います)。

4 まずは弁護士にご相談ください

以上のほか、夫婦の一方または双方が自衛官の場合の離婚には、考慮しなければならない事項が多数あります。
離婚問題でお困りのときは、当事務所にご相談いただければと存じます。

自衛隊(自衛官)の離婚に関する解決事例はこちらから

解決事例
30代の男性が、妻から慰謝料および財産分与として合計400万円の請求を受けたのに対し、合計150万円の支払に収めた事案(裁判離婚)
30代の男性が、妻から財産分与として529万円の請求を受けたのに対し、200万円の支払に収めた事案(裁判離婚)
20代の男性が、妻からの適正額を超える養育費と財産分与の請求を妥当な金額に収め、協議離婚を成立させた事案(協議離婚)
40代の男性が、有責配偶者からの離婚請求であるものの、離婚調停を提起して離婚の合意を成立させた事案(調停離婚)