DV被害を受けた方が、加害者である配偶者から避難した後に困るのが、生活費の問題です。
また、DV被害を受けた方は、先に離婚したいという気持ちが強く、慰謝料の請求を後回しにしてしまいがちですが、この問題も離婚とともにきちんと解決するべきでしょう。
ここでは、DV被害による離婚とお金の問題として、生活費と慰謝料について、ご説明いたします。

1 生活費を確保する方法

加害者である配偶者から避難した後の生活費を確保する方法として、配偶者に対して婚姻費用を請求するという方法があります。
婚姻費用とは、日常の生活費、子どもの養育費、医療費など、夫婦が生活していくために必要となる費用のことです。
離婚前の別居中、離婚の協議中、調停中、訴訟中であったとしても、離婚が決着するまでは、婚姻費用の分担として、収入の多い側が少ない側の生活費を助けなければなりません。

婚姻費用を請求するためには、家庭裁判所の調停や審判を申し立てる方法があります。
しかし、DV加害者を相手とする場合、調停での話し合いがうまくいかないケースも多いです。
その場合には、審判で裁判所が婚姻費用の金額を決めることになります。

離婚の調停と一緒に婚姻費用の調停を申し立てる方法もあります。
いずれの調停も話し合いがうまくいかずに不成立となったとしても、婚姻費用については審判に移行して、裁判所に婚姻費用の金額を決めてもらうことができます。

調停や審判では婚姻費用が決まるまで時間がかかることから、収入が少なく、貯金も底をついて、生活が困窮してしまうような場合もあります。
その場合には、審判前の保全処分という手続を利用して、早急に裁判所に婚姻費用の支払を命じてもらうという方法もあります。

2 慰謝料について

DV加害者に対しては、肉体的・精神的な苦痛を受けたことへの慰謝料請求が認められます。
DVの回数が多ければ多いほど、期間が長ければ長いほど、受けた怪我の程度がひどければひどいほど、慰謝料は高額となります。
もっとも、裁判となれば、慰謝料請求が認められるためには、DV被害を受けていたことを第三者が見てわかるように、次のような証拠が必要となります。

・DVによって怪我をしたときに病院でもらった診断書
・DVによって怪我をしたときに治療を受けた病院のカルテ
・DVによって受けた怪我(あざや傷)の写真
・DVの内容を具体的に記録している日記
・DV被害について親や友人に助けを求めたり、相談したりしている内容のメール
・警察や公的機関へのDV相談の記録

3 DV被害による離婚と生活費・慰謝料について、安全かつ適正に解決するために

DV加害者に対して生活費や慰謝料などのお金を請求することについて、ためらったり、恐怖を感じたりする方も多いでしょう。
請求に応じてもらえない可能性や、さらなる報復を受けることになる可能性を恐れ、不安を抱いてのことかもしれません。
しかし、弁護士にご相談・ご依頼いただいたうえで、弁護士を対応窓口とすることで、このような不安から解放され、安心して手続を進めていくことが可能となります。

当事務所の弁護士は、これまで、DV加害者を相手方とする離婚において、生活費や慰謝料の問題についても、離婚とともに安全に進め、適正な支払を受けて解決してきた実績があります。
DV被害による離婚において、生活費や慰謝料を請求することに不安を抱いている方は、当事務所にご相談いただければと存じます。

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