養育費・婚姻費用の「算定表」は、父母間に子どもが2人以上いる場合については、支払を受ける子どもたちの全員が父・母のいずれか一方と生活しているケースを前提として作成されています。
父母間に子どもが2人以上いて、父と母のそれぞれの世帯に分かれて生活している場合の養育費・婚姻費用の計算方法について、以下でご説明させていただきます。
なお、以下の説明は、「算定表」の元となる「標準算定方式」を前提とする内容です。
「標準算定方式」については、次のQ&A記事をご参照ください。
●養育費の標準算定方式による計算方法は?
●婚姻費用の標準算定方式による計算方法は?
1 養育費の計算方法
【事例1】
夫の年収(給与)が600万円である。
妻の年収(給与)が200万円である。
夫と妻の間には、16歳の子どもAと10歳の子どもBがいる。
夫と妻が離婚し、子どもAは夫と、子どもBは妻と同居することとなる。
養育費の金額はどのように算定されるか?
上記の【事例1】では、A・Bともに妻と生活している場合の「標準算定方式」の結果から、妻と生活するBの養育費に該当する金額を算定して、夫の負担額を計算します。
そこで、まずは、以下の①~④のとおり、A・Bともに妻と生活している場合の養育費の金額を「標準算定方式」により計算します。
①夫婦それぞれの基礎収入を計算する。
・夫の基礎収入:600万円×41%=246万円
・妻の基礎収入:200万円×43%=86万円
②仮に養育費の支払義務者が子どもと同居していた場合の子どもの生活費を計算する。
・夫とA・Bの生活費指数の合計:100+85+62=247
・A・Bの生活費指数の合計:85+62=147
・計算:246万円×147/247≒146万4000円
③上記②で計算した子どもの生活費を夫婦ぞれぞれの基礎収入で按分し、養育費の支払義務者が支払うべき養育費の年額を計算する。
・計算:146万4000円×246万円/(246万円+86万円)≒108万5000円
④上記③で計算した養育費の年額を12か月で割り、養育費の月額を計算する。
・計算:108万5000円÷12か月≒9万円
上記の計算により得られた月額9万円のうち、Bの養育費に該当する金額を次のとおり算定し、夫の負担額を計算します。
9万円×62/147≒3万8000円
2 婚姻費用の計算方法
【事例2】
夫の年収(給与)が600万円である。
妻の年収(給与)が200万円である。
夫と妻の間には、16歳の子どもAと10歳の子どもBがいる。
夫と妻が別居となり、子どもAは夫と、子どもBは妻と同居している。
婚姻費用の金額はどのように算定されるか?
上記の【事例2】では、「標準算定方式」により、以下のように婚姻費用の金額が算定されます。
①夫婦の基礎収入の合計を計算する。
・夫の基礎収入:600万円×41%=246万円
・妻の基礎収入:200万円×43%=86万円
・夫婦の基礎収入の合計:246万円+86万円=332万円
②子どもとの同居状況に応じて夫婦それぞれの生活費指数を計算する。
・夫の世帯の生活費指数:100+85=185
・妻の世帯の生活費指数:100+62=162
③夫婦それぞれに必要となる生活費の金額を計算する。
・夫に必要となる生活費:332万円×185/(185+162)≒177万円
・妻に必要となる生活費:332万円×162/(185+162)≒155万円
④必要となる生活費に不足している金額を計算する。
・婚姻費用の年額:155万円-86万円=69万円
・婚姻費用の月額:69万円÷12か月=5万7500円