離婚におけるお金の問題として、「慰謝料」があります。
慰謝料が発生するかどうかは、離婚に至る原因次第となります。
ここでは、離婚における慰謝料の問題について、ご説明させていただきます。

1 慰謝料とは

慰謝料とは、離婚によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償金です。

有責な(違法性のある)行為により離婚の原因を作った側は、離婚による精神的苦痛を被った側に対し、慰謝料を支払う義務を負います。

配偶者に対する慰謝料の請求は、離婚をする際に請求することができますし、離婚後に請求することも可能です。
ただし、離婚が成立してから3年が経過すると、時効により慰謝料請求の権利が失われてしまいますので、注意が必要です。

●慰謝料請求の手続

2 慰謝料を請求できる場合

配偶者の有責な行為により離婚となる場合には、慰謝料を請求することができます。
具体的には、以下のような場合です。
なお、有責行為の有無・内容に争いがある場合には、慰謝料を請求する側が証拠により有責行為の存在を証明しなければなりません。

(1)DV・暴力があった場合

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者暴力のことを意味します。
殴る・蹴るなどの身体的な暴力による離婚の場合には、慰謝料が発生します。

●DV・暴力の被害による離婚の慰謝料

(2)モラハラがあった場合

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や行動、態度によって精神的な苦痛を与える嫌がらせのことを言います。
「精神的暴力」や「精神的虐待」とも呼ばれます。
モラハラによる離婚の場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。

●モラハラの被害による離婚の慰謝料

(3)不貞行為(不倫・浮気)があった場合

夫婦はお互いに貞操義務を負っており、配偶者以外の異性と性的な関係を持つことは有責な行為となります。
不貞行為(不倫・浮気)による離婚の場合には、慰謝料が発生します。

●不倫・浮気の被害による離婚の慰謝料

(4)その他

その他、次のようなケースでは、慰謝料が発生します。

積極的に夫婦関係を破たんさせる意図のもとに家出・同居拒否をし、生活費を支払わなかった場合(悪意の遺棄)。
年齢が若く健康上の理由等もないのに一方的に長期間性交渉を拒否した場合。
度を超えたギャンブルや浪費のために配偶者の金銭を盗むなどし、夫婦関係を破たんさせた場合。

3 慰謝料を請求できない場合

以下のような場合には、慰謝料を請求することはできません。

(1)性格の不一致の場合

性格の不一致の場合には、夫婦のどちらか一方に責任があるということにはできません。

このように、配偶者に有責な行為があったとは言えない場合には、慰謝料は発生しません。

(2)夫婦双方に同程度の責任がある場合

配偶者に離婚原因となる有責行為があるのに対し、ご自身にも同程度の責任がある場合には、慰謝料を請求することはできないと考えられます。
例えば、配偶者が不倫・浮気をしている一方で、ご自身も不倫・浮気をしているような場合です。

一方で、夫婦の一方に重い有責行為があるのに対し、他方には軽い責任がある場合には、重い有責行為がある側は慰謝料を支払う義務を負います。
ただし、他方にも軽い責任があることは、慰謝料の金額を算出する際に減額要素となるでしょう。

(3)その他

その他、次のようなケースでは、慰謝料は発生しません。

子どもの教育方針の不一致、金銭感覚の違い、政治的な思想・信条の違いによる離婚。
配偶者の親族との不仲による離婚。ただし、親族からの嫌がらせに加担していたような場合には、慰謝料が発生する可能性があります。
信仰・宗教上の対立による離婚。ただし、あまりに多額のお布施のために家計を破たんさせたような場合には、慰謝料が発生する可能性があります。

4 弁護士にご相談ください

離婚における慰謝料についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所では、これまでに、離婚と慰謝料に関するご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。
対応経験・解決実績が豊富にございますので、ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

慰謝料についてはこちらもご覧下さい

●離婚における慰謝料について
●DV・暴力の被害による離婚の慰謝料
●モラハラの被害による離婚の慰謝料
●不倫・浮気の被害による離婚の慰謝料
●慰謝料請求の手続

慰謝料が問題となった解決事例

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