夫または妻名義の個人事業の財産も、財産分与の対象となるのが原則です。
ただし、事業用の負債(借金)があるのであれば、それを差し引いた額が財産分与の対象となります。
また、数千万円を超えるような高額の事業用財産が形成され、財産の形成に関する寄与度において夫婦間で大きな差があるような場合には、分配の割合に差を付けるなどの調整が必要となるでしょう。
なお、結婚前から保有していた財産や親から相続した財産は、事業用財産であろうと個人的な財産であろうと、財産分与の対象とはなりません。
事業用財産としては、例えば、預貯金、不動産、自動車、機械類、什器・備品、売掛金などがあります。
自営業者の場合、これらの事業用財産は、事業主個人の名義となっているのが通常です。
結婚期間中に形成された事業用財産は、通常は夫婦の協力関係のもとに形成された財産であると考えられますから、基本的には財産分与の対象となります。
ただし、事業用の負債(借金)があるのであれば、それを差し引いた額が財産分与の対象とされます。
また、結婚前から保有していた財産や親から相続した財産は、夫婦で協力して形成したものではありませんので、事業用財産か個人的な財産かを問わず、財産分与の対象から除外されます。
そして、財産分与の割合は、結婚期間中に増えた財産について、2分の1ずつ公平に分配するのが基本となります。
これを「2分の1ルール」と言います。
ただし、夫婦の一方の特別の才覚・努力によって多額の事業用財産が形成された場合には、「2分の1ルール」が適用されず、財産分与の割合が低くなることがあります。