DV(配偶者暴力)を受けた場合の初期的対応は、できる限り証拠を集めること、速やかに避難を進めること、関係機関に相談すること、保護命令の申立てを行うことです。

1 できる限り証拠を集めること

無理のない範囲で、DV(配偶者暴力)の証拠を集めましょう。
DVの証拠としては、怪我・あざの写真を撮影すること、病院を受診して診断書を書いてもらうこと、部屋で暴れた痕跡の写真を撮影すること、暴行・暴言の様子を録音すること、などが考えられます。

2 速やかに避難を進めること

夫に発覚しないように、速やかに避難を進めましょう。
避難は隠密に、そして急を要しますので、最低限の身の回りのものだけを持ち出すことが多いでしょう。
避難先としては、実家や友人宅などが考えられます。
また、家族や友人の協力を得ることが困難な場合、緊急で避難する必要がある場合には、お近くの配偶者暴力相談支援センターや警察などの関係機関に相談し、一時保護施設(シェルター)へ避難する方法もあります。
子どもがいる場合には、ご自身が子どもの育児を主に担ってきたのであれば、子どもを連れて一緒に避難することが多いでしょう。
そして、住民票を避難先に移転する場合には、市町村役場に閲覧制限の措置を申請するようにしましょう。

3 関係機関に相談すること

夫がご自身や子どもを連れ戻そうと探し回ることも考えられますので、警察に対応を相談しましょう。
子どもの待ち伏せ・連れ去りを防止するため、保育園・小学校などに事情を説明しておくことが必要な場合もあるでしょう。
また、後述する保護命令の申立てを行う場合には、原則として、事前に配偶者暴力相談支援センターや警察に相談を行うことが必要です。

4 保護命令の申立てを行うこと

夫からのさらなる暴力や脅迫が懸念される場合には、裁判所に保護命令を申し立てましょう。
保護命令とは、裁判所が、DV(配偶者暴力)の被害者からの申立てにより、加害者に対して、被害者に近づくことの禁止などを命じる手続のことを言います。
また、保護命令では、必要があれば、夫婦が一緒に住んでいた住居からの一時退去の命令も出してもらうことができますので、夫の一時退去の間にご自身の衣類その他の私物を持ち出すことが可能です。
保護命令に違反した加害者には、法律上、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられますので、非常に強力な手続であると言えます。

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Q&A一覧

No ご質問
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47 配偶者が私に無断で子どもを連れて家を出て、別居状態になりました。子どもの親権が欲しいのですが、どうすればよいでしょうか?
48 配偶者と別居中です。子どもは自分と同居しており、配偶者から子どもとの面会交流を求められているのですが、配偶者に子どもを連れ去られるのではないかと心配です。どのようにすればよいのでしょうか?
49 配偶者と同居していた家を出て、別居状態となったのですが、住民票は移すべきですか?
50 家庭裁判所調査官は、どのような調査をしますか?
51 家庭裁判所調査官とは、どのような人ですか?
52 家庭裁判所の調停の手続は、どのような流れで進んでいきますか?
53 家庭裁判所調査官の調査結果(調査報告書)は、裁判官の判断にどのような影響がありますか?
54 調停委員とは、どのような人ですか?
55 家庭裁判所の調停では、弁護士に依頼している場合でも、本人が裁判所へ出席する必要がありますか?
56 家庭裁判所の調停では、相手方(配偶者)と顔を合わせることになりますか?
57 相手方(配偶者)が遠方に住んでいる場合には、どこの家庭裁判所で調停手続が行われますか?
58 離婚の訴訟の手続では、弁護士に依頼している場合でも、本人が裁判所に出席する必要がありますか。
59 相手方(配偶者)が遠方に住んでいる場合には、どこの家庭裁判所で離婚の訴訟の手続が行われますか?
60 親権者を変更するためには、どのような手続が必要ですか?
61 離婚の訴訟の手続は、どのような流れで進んでいきますか?
62 親権者の変更は、どのような場合に認められますか?
63 収入が少なくても子どもの親権者になれますか?
64 うつ病などの精神疾患があっても、子どもの親権者になれますか?
65 夫からDV(暴力)を受けており、逃げ出したいのですが、まずはどのように動けばよいのでしょうか?
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67 GPSを使って配偶者の不倫・浮気の調査をすることは違法ですか?
68 モラハラ(モラルハラスメント)を理由として離婚を要求することはできますか?
69 モラハラ(モラルハラスメント)を理由として慰謝料を請求することはできますか?
70 夫婦いずれかの名義の事業用財産(自営業者の場合)は、財産分与の対象となりますか?
71 夫婦のいずれかが経営する会社・法人の名義の財産は、財産分与の対象となりますか?
72 子ども名義の預金は、財産分与の対象となりますか?
73 単身赴任の場合の財産分与の基準時は?
74 キャバクラ通い・スナック通いをしたことは、離婚や慰謝料請求の原因になりますか?
75 デリバリーヘルス(デリヘル)などの風俗を利用したことは、離婚や慰謝料請求の原因になりますか?
76 過去に不倫・浮気をしたのですが、配偶者から許しを得ました。その後、夫婦関係が悪化したので離婚を求めたいのですが、過去に不倫・浮気をした私からの離婚の請求は難しいのでしょうか?
77 配偶者が過去に不倫・浮気をしたのですが、一旦許しました。その後、夫婦関係が悪化したので離婚を求めたいのですが、配偶者の過去の不倫・浮気を理由とする離婚の請求は認められますか?
78 離婚の原因を作った責任がある側(有責配偶者)からの離婚の請求は認められますか?
79 夫婦の両方に離婚の原因を作った責任(有責性)がある場合、離婚の請求は認められますか?
80 不倫・浮気の事実を裏付ける証拠にはどのようなものがありますか?
81 養育費の標準算定方式による計算方法は?
82 婚姻費用の標準算定方式による計算方法は?
83 婚姻費用の金額は、どのようにして決めるのでしょうか?
84 婚姻費用の金額は、一度決めたら増額や減額はできないのでしょうか?
85 不貞慰謝料と離婚慰謝料の違いは?
86 円満調停とは?
87 肉体関係(性交渉・性関係)がないのに慰謝料を請求されています。慰謝料を支払う必要はあるのでしょうか?
88 不倫・浮気をした場合でも、子どもの親権者になれますか?
89 性格の不一致を理由として離婚することはできますか?
90 性格の不一致を理由として慰謝料を請求することはできますか?
91 離婚原因の「悪意の遺棄」とは?
92 離婚原因の「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」とは?
93 別居婚(週末婚・通い婚)から離婚する場合に財産分与は認められますか?
94 別居と同居を繰り返した場合の財産分与はどうなりますか?
95 夫婦で財布が別の場合に財産分与は認められますか?
96 住宅を購入する(家を建てる)際の頭金が、結婚前から保有していた預貯金や親から贈与・援助を受けた金銭で支払われている場合、財産分与はどうなりますか?
97 財産分与の際に不動産(土地・建物)の価値(評価額)はどのようにして決まりますか?
98 不倫・浮気による慰謝料の請求を弁護士に依頼した場合、弁護士費用を相手方に請求することはできますか?