家庭裁判所の調停は、本人の出席が原則となりますので、弁護士に依頼している場合でも、弁護士と一緒に本人も裁判所へ出席する必要があります。
ただし、例外的にどうしても行くことができない事情がある場合には、弁護士のみの出席も認められていますが、離婚調停を成立させる場合には、やはり本人の出席が必要となります。
離婚などの家事事件は本人の身分関係に関するものですので、本人の意思が非常に重要となります。
そのため、家庭裁判所の調停を規律している規則においては、弁護士に依頼している場合でも、本人の出席を原則としていて、代理人である弁護士のみの出席は「やむを得ない事由」がある場合に限るとしています。
この「やむを得ない事由」は、一般的には、本人の病気、親族・近親者の危篤や葬儀、海外出張などで出席できないという場合が想定されており、単純に仕事が忙しくて出席できないという場合は含まれていないと解釈されています。
もっとも、実務では、比較的広く「やむを得ない事由」が認められて、代理人弁護士のみの出席でも調停が開かれて、話し合いが進められていることも実際にはあります。
特に、婚姻費用調停、養育費調停、財産分与調停といったお金に関する調停、あるいは、離婚調停でお金に関する部分だけに争いがあるというような場合には、代理人弁護士のみの出席で話し合いを進めて行くことが、比較的緩やかに認められています。
とはいえ、代理人弁護士のみの出席は、あくまでも例外と位置付けられています。
家庭裁判所の調停では、調停委員にいろいろと事情を説明する必要があり、やはり細かい部分等に関しては本人が説明した方が適切な場合もあります。
基本的には、弁護士に依頼している場合であっても、一緒に同席して自らの言葉で説明をするということが必要になってくると理解しておかれるとよいでしょう。
最後に、離婚調停を成立させる場合は、身分関係に変化が生じる場面であり、ご本人の意思をきちんと確認する必要がありますので、この時は出席することが必要となります。
ただし、こちらも実務上の例外として、どうしても出席できない事情がある場合には、出席が困難な事情を証明する資料(例えば、病気・けがの診断書)と、本人の意思確認を補充(例えば印鑑証明書付委任状の提出、通話による意思確認)することで、代理人弁護士で離婚調停を成立させることが可能となっています。