婚姻費用には、夫婦間の子どもの教育費も含まれています。
公立学校の学費については、通常かかる教育費であるため、婚姻費用に加算されることはありません。
問題となるのは、子どもが私立学校や塾・予備校・習い事に通う場合です。
夫が、子どもの私立学校への進学を承諾していた場合や、明確な承諾はしていなくても、夫妻の学歴・収入・社会的地位、兄弟姉妹が私立学校に進学しているといった事情から、承諾するのが普通と考えられる場合には、私立学校の学費についても分担することとなります。
したがって、婚姻費用の金額が一定程度加算されます。
どの程度加算されるかは、個々の事案によって異なりますが、夫婦で子どもの教育費を半分ずつ負担するということで、公立学校の学費を超える金額の半額程度が加算されることが多いです。
一方、夫妻で教育方針が対立し、夫が従前から子どもの私立学校への進学に反対していた場合や、夫の承諾がなく、夫妻の学歴・収入・社会的地位、兄弟姉妹の進学状況といった事情からも、夫が私立学校への進学を承諾するのが普通とは言えない場合には、妻が私立学校の学費を支払っていても、婚姻費用の金額に加算されません。
また、塾・予備校・習い事は、学校のように必ずしも皆が通うものとは限らないので、夫の承諾があったとしても、その費用が婚姻費用の金額に加算されるとは限りません。
塾・予備校・習い事が授業の補助や進学のためにどの程度必要か、夫妻の学歴・収入・社会的地位、子どもの学校の成績、塾・予備校・習い事の利用実績などを考慮して、婚姻費用の金額に加算すべきか、慎重に判断されます。
加算される場合でも、どの程度加算されるかは、個々の事案によって異なりますが、半額程度が加算されることが多いです。