配偶者と別居した場合には、多くの場合、住民票を移した方がよいと考えられますが、注意すべき点もあります。
まず、住民票を移すメリットとしては、郵便物を確実に受領できる点です。
役所や金融機関などから送られてくる郵便物の一部には、郵便局に転送届を提出していても、住民票上の住所に転送不要扱いで郵送されるものがあります。
そのため、重要な郵便物を確実に受け取るためには、住民票を移す方が良いでしょう。
また、子供を連れて別居した場合、住民票を移さなければ、児童手当の受給者を配偶者から変更することができません。
住民票上の住所が配偶者と同じ場合には、配偶者と同居していると判断されるので、いつまでも児童手当の受給者を変更することができません。
児童手当は子どもを養育する上で重要ですので、受領するためには住民票を移す必要があります。
さらに、住民票を移していなければ子供の公立学校への転校は、原則として、認められていません。
新しい住所先から通学可能な場合や転校を避けたい場合には、必ずしも住民票を移す必要はありませんが、遠方への別居の場合には、新しい住所地の公立学校に通わせなくてはならないので、住民票を移すことが必須となります。
その他、住民票を移した場合、保育料が下がる可能性や、公営住宅への申し込みができる可能性がでてくる、といったメリットもあります。
他方で、自分が住宅ローンの返済の名義人となっている場合には、原則として、住宅変更をすることが認められていません。
金融機関に住民票の移動を知られてしまった場合には、契約違反となるので、住宅ローンの一括返済を請求される可能性が高くなります。
さらに、住宅ローン控除を受けている場合には、住民票を移した場合には、控除を受けられなくなります。
また、住民票を移したとしても、配偶者は新しい住所地を知ることができます。
そのため、配偶者に新しい住所地を知られたくない場合には、住民票を移すことはお勧めできません。
なお、DV等の被害にあった場合には、市町村役場への申立てにより、住民票の取得や閲覧を制限することができる場合があるので、事前に役所に相談するようにしましょう。
このように、住民票を移すにあたっては、多くのメリットもありますが、住民票を移すことができない場合もありますので、慎重に判断する必要があります。