一度決めた養育費の金額であっても、権利者(受領側)と義務者(支払側)が協議(話し合い)で合意すれば、自由に変更することができます。
協議による合意ができなくても、金額を決めた当時から事情の変更があれば、家庭裁判所の調停や審判により増額や減額が認められます。
増額・減額が認められる事情の変更としては、以下のような例があります。
【増額が認められる例】
□義務者(支払側)の増収。
□義務者(支払側)の扶養義務者が減ったこと。
□権利者(受領側)の減収や失業。
□子どもの教育費や医療費が従前より多くかかるようになったこと。
【減額が認められる例】
□義務者(支払側)の減収や失業。
□義務者(支払側)が再婚するなどして扶養義務者が増えたこと。
□権利者(受領側)の増収。
□子どもが権利者(受領側)の再婚相手と養子縁組をしたこと。
事情の変更が認められるための判断要素には、以下のようなものがあります。
【事情の変更の判断要素】
①取り決めの基礎となった事情に変更があったこと。
②取り決めの時点で当事者が事情の変更を予見できなかったこと。
③養育費の増額または減額を必要とする程度に重要な事情の変更であること。
例えば、離婚時の養育費の取り決めの際に、夫(義務者・支払側)がすでに不倫・浮気相手と同居していた場合に、不倫・浮気相手と結婚するために、妻(権利者・受領側)から離婚の同意を得るべく高額の養育費の支払を取り決めることがあります。
この場合、妻との離婚が成立したあとに、夫が不倫・浮気相手と実際に結婚し、子どもが産まれたからといって、養育費の減額は認められません。
取り決めの基礎となった事情には不倫・浮気相手との関係が織り込まれており、離婚後に夫が不倫・浮気相手と結婚ないし子どもを設けることは予見可能であるからです。
また、権利者(受領側)または義務者(支払側)にわずかな増収・減収であっただけであれば、重要な事情の変更とは言えず、養育費の増額・減額は認められないでしょう。
養育費の増額や減額の手続としては、権利者(受領側)と義務者(支払側)で合意ができるのであれば、話し合いで取り決めることができます。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、解決を求めることとなります。