事案内容:親権
依頼者:20代の女性(会社員)
相手方:30代の男性(会社員)
結婚歴:7年
子ども:1人
1 夫婦の状況
依頼者と相手方(夫)とは、夫の借金などが原因で夫婦関係が悪化し、依頼者が子どもとともに実家に帰ったことで、別居に至りました。
2 相談・依頼のきっかけ
依頼者は、離婚の話し合いが思うように進まないことで相談に来られ、「夫の両親も含めて離婚の話し合いをしたが、自分が一方的に責められただけだった」、「夫の側は離婚するなら親権を取るとも言っているので、対応を弁護士にお願いしたい」とのことで、当事務所にご依頼いただくこととなりました。
3 当事務所の活動
当事務所の弁護士が夫に連絡を取り、離婚に対する意向を確認したところ、夫の態度ははっきりしないものでした。
その後も何度か意向確認の連絡をしていたところ、夫は弁護士を立てて、「まずは面会交流を求める」、「離婚する場合には親権を取る」と主張してきました。
当事務所の弁護士は、親権が争われたことで協議による解決は困難と判断し、すぐに離婚調停を申し立てました。
そうしたところ、夫の側からは、面会交流の調停が申し立てられました。
調停では、夫が面会交流が実施されなければ離婚の話し合いには応じないという態度であったため、しばらく中断していた面会交流の調整から始まりました。
依頼者は、面会交流を拒否するわけではありませんでしたが、親権が争われている中での面会交流について、子どもの連れ去りなどの不安を抱えていました。
そこで、当事務所の弁護士は、依頼者の不安を解消して面会交流を実施するため、依頼者と相談のうえで、子の監護者指定の調停を申し立てました。
子の監護者指定の調停を申し立てたことで、速やかに監護者に関する家庭裁判所調査官の調査が始まりました。
そして、調査の結果、「監護者は依頼者とすべきである」との意見が付された調査報告書が出されました。
依頼者は、育児・家事と仕事、いずれもしっかりと行っている方でしたので、当然の調査結果でした。
この調査結果を受け、依頼者も宿泊付の面会交流を認めるということで歩み寄ったことで、監護者を依頼者とすることに夫が同意し、調停合意が成立しました。
他方で、親権は絶対に取るという夫の主張は変わらず、離婚調停は不成立となりました。
そこで、当事務所の弁護士は、速やかに離婚の裁判を申し立てました。
4 当事務所が関与した結果
裁判では、すでに監護者に関する調査が行われていたこともあり、親権者に関する調査は、前回調査から生活状況に変更はないかなどの補充的な調査となりました。
そして、調査の結果、「親権者は依頼者とすべきである」との意見が付された調査報告書が出されました。
この調査結果に加え、それまで面会交流が滞りなく続けられてきたことで、夫は、親権者を依頼者とすることに同意しました。
これにより、依頼者は、無事に和解で、親権を獲得して離婚を成立させることができました。
5 解決のポイント(所感)
親権が激しく争われている中での面会交流は、相手方による子どもの連れ去りがあるのではないかといった不安があって、なかなか実施に踏み切れないという方は多いです。
特に、同居中にほとんど育児をしていなかった相手方や、子どもと一緒に過ごすことや遊ぶことがなかった相手方から、親権を主張されたうえで面会交流を求められると、このような不安を抱いてしまうのも無理はありません。
とはいえ、理由なく面会交流を拒否することはできませんし、理由なく拒否し続けると、親権者の判断において不利に働いてしまうこともあります。
本件では、子の監護者の指定という、いわば子どもを育てていくことに対する家庭裁判所のお墨付きを得たことで、依頼者の不安もある程度和らぎ、激しく親権が争われている中でも、面会交流を実施することができました。
そして、面会交流が滞りなく続けられたことで、親権は絶対に取ると頑なに主張していた夫も、最終的には折れました。
当初は、尋問、判決、さらには控訴審(高等裁判所)で親権が争われることも覚悟していましたが、無事に和解で親権を獲得して離婚することできました。
6 お客様の声
約2年間、本当にありがとうございました。
休日・夜間でも面会交流などの事でタイムリーに相談・アドバイスして頂いて、本当に助かりました。
親身になって対応して頂き、感謝しています。
※クリックすると拡大されます。