夫婦の両方に離婚の原因を作った責任(有責性)がある場合については、①離婚の請求をする側に大きな有責性がある場合、②離婚の請求をする側と相手方配偶者との有責性が同程度である場合、③相手方配偶者の側に大きな有責性がある場合、が考えられます。
この点、夫婦同士で離婚に同意すれば①~③のいずれの場合でも離婚が可能ですが、離婚することに同意が得られずに争いになれば、以下のように判断されることとなります。
①離婚の請求をする側に大きな有責性がある場合
例えば、離婚の請求をする側に不倫・浮気があり、相手方配偶者に程度の低い暴言等があった場合などが考えられます。
このように、離婚の請求をする側に大きな有責性がある場合は、有責配偶者(離婚の原因を作った責任がある側)から無責配偶者(離婚の原因を作った責任がない側)への離婚の請求の場合と同様に考えることができます。
具体的には、以下のQ&A記事をご覧ください。
>>>離婚の原因を作った責任がある側(有責配偶者)からの離婚の請求は認められますか?
②離婚の請求をする側と相手方配偶者との有責性が同程度である場合
例えば、夫婦の両方が不倫・浮気をしていた場合などが考えられます。
このように、離婚の請求をする側と相手方配偶者との有責性が同程度である場合は、どちらが悪いとも言えなくなるため、どちらにも責任がないという場合と同様の取り扱いで考えることになります。
つまり、単純に「夫婦関係が破たんしているか?」という基準で、離婚の請求が認められるかどうかが判断されることとなります。
そして、上記のように、夫婦の両方が不倫・浮気をしていたのであれば、不倫・浮気をした事実は夫婦関係を著しく悪化させるのが通常ですから、離婚の請求が認められるという結論になるのが通常です。
③相手方配偶者の側に大きな有責性がある場合
上記①で挙げた例とは逆のパターンです。
このように、相手方配偶者の側に大きな有責性がある場合は、無責配偶者(離婚の原因を作った責任がない側)から有責配偶者(離婚の原因を作った責任がある側)への離婚の請求の場合と同様に考えることができます。
つまり、離婚の請求が認められるのが通常です。