夫がキャバクラ・スナックの女性と肉体関係を持ったのであれば、夫に対し、離婚および慰謝料を請求することができます。
民法上の離婚原因である「配偶者に不貞な行為があったとき」（民法７７０条１項１号）に該当し、肉体関係を持ったことは民法上の不法行為（民法７０９条）に当たるためです。
一方で、単にキャバクラ通い・スナック通いをしているだけで、肉体関係がないという場合には、夫に対する離婚や慰謝料の請求は認められないのが原則です。
しかし、肉体関係がなくても、キャバクラ・スナックに通った回数・頻度・金額等から、夫婦関係の継続が困難であると判断されれば、夫に対する離婚の請求が認められる余地があります。
また、肉体関係がなくても、キャバクラ通い・スナック通いが多数回・高頻度にわたり、夫婦関係を破たんさせたものと判断されれば、夫に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。
このような場合には、民法上の離婚原因である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」（民法７７０条１項５号）に該当し、夫婦関係を破たんさせた責任は民法上の不法行為（民法７０９条）に当たるためです。
ただし、夫に対する離婚や慰謝料の請求が認められるためには、キャバクラ通い・スナック通いが相当の多数回・高頻度にわたり、収支状況・資産状況と比較して相当高額の利用があることなどの事情があることが前提となりますし、肉体関係があった場合と比較すれば慰謝料の金額は低くなるのが通常です。
キャバクラ・スナックの女性に対する慰謝料請求については、夫が既婚者であるということを知って肉体関係を持ったのであれば、慰謝料を請求することができます。
この点、夫が既婚者であることを隠して関係を持つというケースも少なくありません。
夫が既婚者であるということを知らなくても、知らないことに過失がある場合には、キャバクラ・スナックの女性に対する慰謝料請求が認められます。
キャバクラ・スナックの女性に過失が認められる場合というのは、例えば、夫が結婚指輪を常時着用していた場合のように、通常の注意をしていれば夫が既婚者であるということが分かったようなケースのことを言いますが、証明が難しいことも少なくありません。
過失の証明ができなければ、キャバクラ・スナックの女性に対する慰謝料請求は認められません。
なお、キャバクラ・スナックの女性が夫と肉体関係を持っていない場合には、店舗内での接客はもちろん、店舗外でも同伴・アフター・通常の店外デートまでであれば、営業行為の一環に過ぎませんので、慰謝料を請求することはできません。
