夫婦の財産形成に関する協力関係が失われ、離婚を前提とする別居となった時点が基準時となります。
具体的には、夫婦の一方が離婚を切り出した時点、夫婦双方が離婚に合意した時点などが考えられます。
財産分与とは、夫婦が結婚期間中に協力して形成した財産を、離婚時に分配するという制度です。
夫婦が不仲の果てに離婚を前提として別居を開始した場合には、別居の時点で夫婦の財産形成に関する協力関係が失われるのが通常ですから、別居の時点を基準時として別居の時点までに形成された財産を分配することとなるのが原則です。
しかし、単身赴任の場合には、離れて暮らすこととなったとしても、夫婦の財産形成に関する協力関係は失われないのが通常です。
そのため、形式的に単身赴任の時点をもって財産分与の基準時とする取り扱いは、適切ではありません。
単身赴任の場合には、離婚を前提とする別居と同視できる事情が発生し、夫婦の財産形成に関する協力関係が失われたと言い得る時点をもって、財産分与の基準時とするべきものと考えられます。
具体的な基準時としては、夫婦の一方が離婚を切り出した時点、夫婦双方が離婚に合意した時点などが考えられます。