会社・法人の名義の財産は、原則として財産分与の対象となりません。
ただし、夫婦が共同で形成した財産であると評価できるのであれば、会社・法人の名義の財産であっても、財産分与の対象となります。
また、会社・法人の形をとっていても、単に財産管理・税金対策のための方便に過ぎず、経営者の個人経営である場合には、会社・法人の財産が経営者自身の財産と同視され、財産分与の対象となることがあります。
そして、会社・法人の株式・出資持分を保有している場合には、株式・出資持分は財産分与の対象となります。
なお、会社・法人の名義の財産や株式・出資持分が財産分与の対象となる場合において、数千万円を超えるような高額の財産が形成され、財産の形成に関する寄与度において夫婦間で大きな差があるようなケースでは、分与の割合に差を付けるなどの調整が必要となるでしょう。
会社・法人と経営者個人とは、法律上は別の人格です。
そのため、原則として、会社・法人の財産を経営者自身の財産と同視することはできません。
したがって、会社・法人の名義の財産は、財産分与の対象とはならないのが原則です。
ただし、離婚時の財産分与が認められているのは、夫婦が結婚期間中に形成した財産を、離婚時に分配して夫婦間の公平を図るという目的です。
そのため、たとえ会社・法人の名義の財産であっても、夫婦が共同で形成した財産であると評価できるのであれば、財産分与の対象になると考えられています。
例えば、①夫婦共同経営の同族企業である場合、②会社・法人の経営・売上に相当貢献する一方で、貢献に見合う給料をもらっていなかった場合、③夫婦共有財産を出資して会社・法人を設立した場合などには、会社・法人の財産であっても財産分与の対象となり得るでしょう。
また、会社・法人の形をとっているものの、単なる財産管理・税金対策目的に過ぎないような場合には、会社・法人の財産は実質的に経営者自身の財産とイコールであるとみなすことができるため、財産分与の対象となる可能性があるでしょう。
そして、会社・法人の株式・出資持分を保有していれば、株式・出資持分は財産分与の対象となります。
なお、財産分与の割合は、結婚期間中に増えた財産について、2分の1ずつ公平に分配するのが原則です。
これを「2分の1ルール」と言います。
ただし、夫婦の一方の特別の才覚・努力によって多額の財産が形成された場合には、「2分の1ルール」が適用されず、財産分与の割合が低くなることがあります。